新・ネクロスについて:来期(2016/0101~)の展望

12月も末となり、CSの結果も出揃い始め、新弾によってのテコ入れが入るまではやはり今期の環境の推移と同様の状態です。なるべく早くこの環境に劇的な変化が欲しいところですね。

さて、今回はタイトル通りネクロスの展望です。
ネクロスというテーマ自体に緩和も規制もなかったため、あまり構築やプレイングに変化を出すのは難しいかもしれないですが、大きなポイントにわけて見直す必要があります。

a.環境
EMEm自体は消滅し、またネクロスを使う上での二大障壁の一つであったルーラーが禁止になったため、かなりやりやすくなったと思います。イージーゲームにならず、多少なりともまともにやりあえるため、スタート段階で意識しなくてよくなったのは大きいです。また、バルブとナチュビのギミックも見た限りでは減っているため、二大障壁は両方とも考慮しなくても現段階では大丈夫だと思っています。
しかし、竜剣士EMでは相変わらずの展開力と制圧力、彼岸では相性こそ悪くないものの戦いにくさは残っており、また相性自体も悪く回ってしまうと手のつけられない帝など、環境Top3に対しては不利であることには違いはありません。左腕の代償を得たノイドの復権も向かい風に繋がる恐れがあり、甘い選択は依然として許されないと思います。

b.構築
ネクロスを使うにあたって、来期の構築のポイントとなるのは「バック破壊の枚数」と「サブギミックの選択」だと思います。
特に、バック破壊の枚数、というよりも根本的に採用するか否かで大きく変える必要があるかもしれません。仮想敵である魔法罠をどこにおくか、またツイツイという万能な選択肢と安定のサイクロン、制限カードである羽根帚、先攻展開と永続に対するメタであるタイフーンなど、様々なカードの中から最も効率のいい選択をしなくてはならないのは、デッキスペースが限られるネクロスにおいては無視出来ない点です。採用しない選択肢がある、というのはこのためです。
手札誘発を優先するのか、そして後述するサブギミックの存在が、バック破壊に対する考え方を見直すことになります。

サブギミックの選択については、今期のルーラー・ナチュビという通したら負け、というカードに対するメタを優先し、仮に通しても返せるギミックとしてハルベルトによるエクシーズやマスマバルブによるシンクロ、罠を敷くタイプなど様々な選択があったにせよ、最終的には上記二枚のカードを中心に考えていたと思います。
来期はそれらを考えずに、環境に合わせて選べるため、まずはこちらを決めてから、残りのスペースと相談しバック破壊カード及び手札誘発を決める、という方が望ましいかと思います。

c.プレイング
これに関してはあまり見直すことはないと思いますが、来期はサイズの大きなモンスター、特にイグニスターPの2850、帝や守備のベアト並びに融合ダンテの2800による攻撃力に対する立ち回りが重要になってきます。
ネクロスは全体的にサイズが大きくなく、ディサイシブやヴァルキュルスがあるにせよ、打点を通してビートするだけではかなり厳しいと思います。能動的な除去をトリシューラに頼っていると、余計に考えなくてはなりません。エクシーズギミックも過信は出来ないです。

d.総評
引き続きネクロスを使うプレイヤー、環境に柔軟に対応出来るため新しく使おうと考えているプレイヤー、来期も意外と厳しいので、様々な選択の一つ一つが大事になってくる、ということを理解し、ネクロスというテーマの楽しさを共有出来たらいいと思います。

制限改訂(2016/01~)の影響

12月も半ばを過ぎ、遊戯王も制限改訂が発表、確定しました。
今回は前評判の高かったショックルーラーを筆頭にEMEmのEmでのキーパーツであるヒグルミとダメージジャグラーが禁止になり、前々回のような放置ではないものの、環境そのものを覆すことには至らないものとなりました。
EMEmはフィニッシャーと強力なサポートを失う形にはなりましたが、依然として制圧・展開能力は高いままであり、今期とさして変わらないような環境が予想されます。
しかしそれでもショックルーラーの禁止が与える影響ははかり知れず、特定のカードに頼るタイプのデッキも活躍出来るチャンスが生まれたとみることもできます。

a.変化の兆し
トップデッキであったEMEmというデッキタイプが事実上消滅したため、形式的には変化すると思いますがEM関連は無規制なので、Emの代わりを入れるだけで解決すると思います。それだけEMというカテゴリの持つカードパワーと親和性は高く、Em関連の禁止というトカゲのしっぽ切りだけではむしろ固定観念を廃し、より対策が取りにくくなる恐れもあります。
巷では今期から少数あった竜剣士パーツを取り入れる型にレスキューラビットを追加するタイプや、マジェスペクターと組み合わせるなど、各々手探りで構築を考えている状況だと見受けられます。構築が定まらないうちは安易な断定は避けたいですが、現状ではまだ一強環境と言っても問題ないレベルです。
結果的に無規制となった彼岸と帝ですが、無規制故にテコ入れがないと構築を大幅に変えることが難しいため、これも今期と同様になるかと思います。

b.復権
環境トップ以外のデッキとしては、どうしてもショックルーラーに屈してしまっていたデッキが禁止により復権するチャンスが与えられています。筆頭としてはやはりネクロスだと思います。これに関してはまた別の機会に詳しく書きたいと思います。
他にもシャドールやクリフォートやHERO、ノイドやマジェスペクターもポテンシャルを発揮することが出来る可能性が今期よりも増し、環境の多様性も守られることを期待しています。

c.懸念
今回のEmの禁止というだけの改訂は、ある種前々回の改訂の規制なしよりも厳しいものだと思います。名目上の改訂だけ行い、中身はほとんど変わっていないため、プレイヤーに丸投げする形になってしまっては本末転倒です。そしてBOSHのカードであるモンキーボード、ツイン・ツイスター、竜呼相討つ、神の通告を見ればわかる通り、インフレが止まるところを知らず、カテゴリを乱発し一発屋状態にしてしまうなど、プレイや構築云々のプレイヤーによる部分ではなく、もっと根本的なメーカーによる部分に対する懸念があります。これはもう少し様子見ですが、10期の開始時にはなんらかの変化が欲しい、と思います。

d.まとめ
来期は今期よりもカードパワーで押し切る部分とプレイングが問われる部分が明確に分かれると予想しています。ルーラーという最大の武器と最大の障害がなくなったことは多かれ少なかれいい影響を及ぼすのではないでしょうか。また、年明けの新制限環境開始直後には9期最後のパックが、2月にはストラクチャーRとGSが控えているため、ここでもまたターニングポイントとなると思います。

超量について①概説、サンプル

今期も残すところあと2週間ほどで制限改訂が発表され、環境の固定化に対する是正が施されることを予想し、現環境も終わりを迎えると同時にまとめ、そして新たな環境に対しても向かっていく時期に差し掛かってると思います。
最終的にはEMEmの一極化、それに追随する形で彼岸、そしてその下に帝、という風に推移していきました。そのため、何を考えるのにも必ずEMEmを意識しなくてはならないため、構築やプレイングにも幅が出ず、非常に窮屈な状態だったと思います。今回は、そんな状況ですが、自由な発想による、少し面白いデッキを考えていきたいと思います。

11月に発売されたSPWRの新規テーマのひとつである超量は、優秀な各レベルの汎用エクシーズと非常に強力なフィニッシャーであるグレートマグナスを主体とし、下級とフィールド魔法を駆使しそれらをいち早く並べていくタイプのデッキです。
元来、エクシーズは同レベルのモンスターが2体以上並んで初めて行える召喚方法であり、特殊召喚を一度経由しない限り、基本的には行えない召喚方法でした。ペンデュラムやその他展開カードなどもそうですが、とにかくモンスターを並べていき、それらをエクシーズするという形での召喚が主だったと思います。
超量は、フィールド魔法があれば手札コスト一枚でエクシーズモンスターを展開出来るため、例に出すと増殖するGやミドラーシュの影響を最小限に止めることが出来る可能性があります。グレートマグナスに繋げる条件も比較的緩めに設定されているため、将来性は高いデッキタイプだと思います。

a.組むに当たって
基本的にまだ種類が少ないため、一部を除いてテーマカードは最大限積んでいく方向が望ましいと思います。そしてそれらをサポート出来る汎用カードを投入し、原型を作る状態です。
エクシーズモンスターは素材縛りがないため、どのようなカードでも繋げることが出来ます。それにより超量をメインに据えなくても、従来の3、4、5軸の出張ギミックによっても戦えるため、構築の幅も広いといえます。

b.特色
超量はサーチ、サルベージ、展開が一律に揃っており、テーマ内でも一応完結しています。そのため、先ほども書いた通り、他のギミックとの親和性も低くなく、プレイヤーそれぞれの個性によって違う動きが出来ます。エクシーズ自体の性能も高いため、構築に応じて柔軟に対応出来ると思います。
しかし、テーマ内で完結させるためには、あとひとつ足りません。それはフィールド魔法の手札コストによる継戦能力、リソースの確保です。

c.構築案
継戦能力は、今現在の環境デッキにおいては標準搭載状態であり、それの有無で環境か否かが分かれているといっても問題ないレベルです。持続的なリソースの確保が戦っていく上では必要不可欠であり、超量を純構築するにはその点が足りません。そこをいかに補うかが構築の課題点だと考えています。
手札リソースの確保を考えるならばヴォルカニック、圧倒的なカードパワーによる展開が出来るEMやEm、汎用性の高いAFなど、様々なパターンが考えられますが、ここではそれらとは違うテーマと複合させていきたいと思います。それは、マジェスペクターです。

d.超量マジェスペクター
サンプルレシピ f:id:seshiguitar:20151202035241p:plain

マジェスペクターは、場に出すことで後続や妨害札をサーチし、手札を切らすことなく継続させることが出来ます。ガジェットなども同様ですが、マジェスペクターはペンデュラムカードであるため、スケールを揃えることで恒久的にデッキを圧縮しつつ手札を増やせます。その点では継戦能力は高いといえます。また、マジェスペクターは3、4軸であり超量のエクシーズに繋げやすく、耐性によりある程度の場持ちも期待出来、さらに除去も行えるため、補助テーマとしては及第点だと思います。

マジェスペクターを混ぜる理由としてさらに、超量士グリーンレイヤーの存在があります。このカードはマジェスペクターと同じ風属性・魔法使い族のため、一部サポートを共有出来ます。テーマ外ではありますが、活かしていける点だと思います。
また、マジェスペクターは本来エクシーズに使ってしまうとエクストラに戻らないため、リソースの確保がしにくい面がありますが、リビデや蘇生によって墓地から再び場に出せるため、これも共有出来ます。

e.基本的な動き方
超量をメインにしている構築なので、それに沿った動きをとります。そこにマジェスペクターを絡め、フィールド魔法の手札コストを確保しつつペンデュラムによる展開やエクシーズの補助を行えればベストです。
緊急テレポートから入ることが出来れば、ブルーレイヤーからサーチを行い、ラクーン等で手札を増やしながらフィールド魔法を使わなくてもエクシーズを立てることが可能であったり、複数体エクシーズを立てることも出来ます。準備が整ったらグレートマグナスを出しにいき、制圧しながらさらに展開していくことで万が一グレートマグナスを返されたときでも対応がしやすく、また、グレートマグナスを倒させない動きもとれます。一応マジェスペクターのフィールド魔法も入っているため、マジェスペクターオンリーでも時間稼ぎが出来ることも考慮に入れられます。
しかし、メリットばかりではなく総じて複雑なデッキであるため比率や引きとの噛み合いがシビアであり、事故を起こすことも多いのでよく考えて構築していくことが必要です。これはあくまでサンプルなので、他にも有用なギミックを積むことや、また新たなテーマとの混合なども充分あり得ます。

f.まとめ
一見まったく噛み合っていなくても、よく組み立てていくと面白い発見が出来ると思います。環境の一極化で固定観念のようなものをもった状態ではなく、現環境に対するまとめや新環境に向けた柔軟な発想をもち、考えていくことがカードゲームの醍醐味のひとつではないでしょうか。

ネクロスについて⑦バック破壊

環境が固定化し、多くのプレイヤーは次の環境を見越した構築へ移行する傾向にあると思いますが、このシリーズ記事ではあくまで現環境における考察を示していきます。今回はネクロスのバック破壊についてです。


a.ネクロスのバック破壊の意義
ネクロスは原則、決まったリソース及び行動回数においてプレイを進めていくデッキであり、構造上無理な展開や思考停止のプレイなどを構築段階から抑制しているデッキです。そんなネクロスで、罠一枚で動きを止められてしまうことは即敗北に繋がります。それを考慮した上で、相手の罠を突破する手段としてのバック破壊カードですが、ネクロスは他のデッキと違い一枚で動けるデッキではありません。構成の段階でバランスを取っていく必要があります。この場合のバランスとは、相手の罠との噛み合いと自分の展開札、リソースによる優位にとれる部分と不利になる部分の配分です。いわゆる裏目を排除し、いかにして自分の動きを通すか、の点においてバック破壊は切っても切れない関係にあると思います。

b.具体性
ではいったい仮想敵として、バック破壊が必要になる場面はいつなのでしょうか。環境的に羽根帚でふらサイドに入る状態において、最優先で破壊しなければならない罠とはなんなのでしょう。
答えはいわずもがな、神の通告です。
神の通告は、アリアドネによってサーチのきくカウンター罠になってしまいました。見えていれば踏みにいかないように迂回する行動をとれば直撃は避けられますが、いつもそういった行動がとれるとは限りません。バック破壊カードは仮想敵を見極め、それらのカードに具体性を持たせなければ採用圏内にいれることが難しいです。なぜなら、ネクロスは手札の質と盤面の強さ、打開力、優位性が平行であり、不要なカードを引くということ自体がそもそも厳しいデッキだからです。儀式は一枚ではどうやっても行うことが出来ず、また止まることも多い難しい召喚方法です。

c.採用候補
現環境では、羽根帚よりも汎用性が高く、複数枚破壊出来るツインツイスターが優先される傾向にあります。また、従来通りのサイクロンや、先攻展開用のタイフーンがあり、取捨選択が重要です。その都度盤面において使い分けられるわけではないので、何をするかに絞ってメインとサイドで使い分けていく必要があると思います。また、手札との兼ね合い、ならびに構築段階から優先順位を導きだすなど、プレイヤーそれぞれの考えとも比べていかなくてはなりません。
羽根帚に関しては、必須ではありますが、ネクロスというデッキには噛み合わない札だと思っています。そのためツイツイを優先する理由もわかる、という状況です。手札コストがあるため無闇な採用は出来ませんが、流行りの通告や永続罠に対しても強く撃てる場合があるため、羽根帚を差し置いてでも現状採用しなくてはならないと思います。

d.場合分け
仮にツイツイを採用しバックを破壊する場合、どのような状況が考えられるか、ここが採用するかしないかの分かれ目だと思います。
どの部分に当てられると被害が大きいのか、少ないのかなど、相手のプレイ傾向にもよる部分ですが、考える価値がある部分です。
①初動の仏の場合
ここに当てられた場合、儀式が揃っているときはあまり痛くないですが、揃っていない場合は一番の痛手になります。場にモンスターが消え、儀式も出来ない状況に追い込まれるため、返すことも難しくなります。その裏目を回避するためにバックを破壊することは充分有用ですが、この場合ではツイツイだと手札コスト分破壊しなければまた返しでの対策を取らないとすぐに優位が入れ替わる恐れがあります。
②仏のサーチ先の効果に撃たれた場合
これは基本的にソラスやブリュなど、サーチ後の追加の動きに対するものです。ここに当てられた場合、こちらの想定は大いに崩れますが、相手側も裏目が多く、ギャンブルに近い状態だと思います。この想定は手札にパーツを溜め込むことで回避しやすくなります。ツイツイで割って動くよりもうまく回避して動く方がいいため、こういった場合はサイクロンで事足ります。
③儀式先に当てられる場合
激流葬や奈落も、基本的にはここに当ててくると思われますし、通告もここに当てるのが最も裏目が少ないです。リソースと行動回数を使っているので、動ける回数を大幅に減らせるためです。
この想定はサイクロンだけでは足りない場合があるため、羽根帚やツイツイなどの複数枚破壊出来るカードが必要です。

e.原則と例外
ネクロスは他のデッキと違い、動くために必要なカードが多いため、極力展開に関わらないカードは減らす方向の方が望ましいです。ですが、環境的にそれらが求められている以上、ある程度の枠を割いていかないとよりイージーウィンをされやすくなります。それらを未然に防ぐためにも、羽根帚以外のバック破壊カードは必要です。しかし、どれも一長一短なので、パターンや環境に応じて変えていかなければなりません。下手にとりあえずで採用してしまうと、思わぬところでそれが足を引っ張る自体になりかねません。自分はいったいどういう状況を想定してそのカードを選択したのかを今一度確認することが大切です。
非環境テーマでは抜きん出た強さのため、一枚一枚に意味をもたせることが、環境デッキに対する対抗策だと思います。

EMhero(竜剣士型)②詳細部分と調整

竜剣士EMheroを使い始めてマッチングの数もそこそこ溜まってきたのと、それによって見えてきた部分があるので書いておきます。

a.変更点
おおまかな構成は前回の記事のレシピからほとんど変わっていませんが、変わった部分については

メイン
・サイクロン2→ツインツイスター2
流行のペンデュラムに強く撃てること、また枠を取らずに複数枚破壊出来ること、手札で腐ったカードの処理やバブルマンのために手札を減らすことなど、一枚で様々な役割をこなせることがわかり変更しました。
特に致命傷になりかねない永続罠に対しては有効であり、裏目を消した上で展開が出来るため採用しない意味がないなと思うレベルでした。

エクストラ
・ダイヤモンドクラブキング→ダークリベリオンエクシーズドラゴン
当初は縛りなしで単純に打点を稼げる上に、任意の素材を切れるクラブキングを優先していましたが、闇属性、ドクロバットベクターP、ダークロウなどで御前試合を踏んでしまうとエクシーズがストップしてしまいジリ貧に陥るパターンが多かったことから、闇属性の汎用エクシーズかつ打点による突破がしやすいダークリベリオンに変更しました。
後攻をもらった場合や逆転を狙って一気にライフを取りたいときにダークリベリオンとライトニングの組み合わせで8000近く取れる場合が見受けられたことや、前述の御前試合ケアなど、単騎で強いクラブキングよりも優先する理由があると感じました。

サイド
・激流葬2→砂塵のバリア-ダストフォース-2
元々先攻展開前提のデッキであり、激流葬では作った盤面を自ら崩してしまうことやペンデュラムおよび彼岸に対して効力が薄いことなどから、場にモンスターを無力化した状態で残したり、激流葬ケアで再展開をしなかった相手に対して奇襲的に使える砂塵のバリアに変更しました。
聖なるバリアや豪炎のバリアなどではモンスターを墓地に送ってしまい、再展開する隙を与えてしまうことが想定されるため、回避しにくい裏にするという特性の砂塵のバリアならではの運用を心がけることでケアされにくいカードでした。

b.環境面
先攻展開出来ればどのデッキもほぼ封殺出来るため、現在の環境トップに対しては強く出れます。しかし、非環境テーマおよび中堅テーマ、特に罠を敷いてくるタイプやメタを貼るタイプのデッキには弱く、噛み合いゲーや手札誘発がないことを祈るしかないようなゲームが多かった印象です。
リソースの確保ではなくリソースを全て使いきり完全な封殺を狙うデッキのため、持久戦に持ち込まれたり、こちらの展開を返されるなどの場合は一気に劣勢に立たされます。構築段階である程度把握はしていましたが、予想以上に厳しく一筋縄ではいかない感じでした。環境的にブラホや羽根帚が減っていますが、それらが積まれている場合、隙を見せると一瞬で流れが傾き、逆転不可にまで持ち込まれるパターンも多々ありました。

c.細部
プレイングとしては、妥協することなくとりあえず出せるだけ出していかなくては難しいです。何度か展開しても弱いハンドのときに、妥協して棒立ちエンドや伏せだけでエンドなどで返すとブラホ羽根帚等のリセットや相手の展開を許してしまい逆に封殺されるパターンがあり、どんなに裏目がありどんなに弱い盤面しか完成しなくても、とにかくできる限りモンスターを立てていく方針の方が意外と良さそうに思えました。
手札誘発のケアもそうですが、下手に直撃を避け迂回した結果弱い盤面を作るくらいなら、直撃覚悟で展開していくことで結果的に勝つ、という想定を無くさないことが大切です。

d.今後の調整
EMEm並のデッキパワーはないですが、各カードパワーはEMEm以上なので、基本的には前述した負けパターンにハマらなければ負けることはないと思います。ルーラーとダークロウによる封殺能力はずはぬけているため、それらをより活かす、ただ出しただけではない強固な盤面を組み立てる発想が必要なのと、冷静な判断、普段から手札パターンからどこまでいけるのかを考えて起きましょう。細かいチューニングする部分、アレンジをする部分についても一人回しをどれだけやったかで変わってくると思います。
しばらくはもう少し研究していく段階ですね。

ネクロスについて⑥ディサイシブについて

最近ネクロスにディサイシブが必要ない、という意見をちらほら見ます。
今回は、ディサイシブの有用性について少し書いていきたいとおもいます。前回の記事の竜剣士EMHEROについてはまた今度更新します。

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a.環境面
現環境ではEMEmのシェア及び勝率が圧倒的に高く、ネクロス自体が制限改訂もあり下火になっています。また、帝も数は減りましたが依然としてTop3に食い込んでいるため、向風であることは否めません。
その環境の中で求められることは《圧倒的な制圧》か《瞬間的にライフを取る》かのどちらかだと思います。悠長なことをしている暇はどのデッキにもない、と考えています。
ディサイシブはネクロスにおいてこの二つの条件を満たしうる数少ないカードだと思います。

b.制圧
ディサイシブの魅力の一つに打点、というのがありますが、これはメインではないです。もちろん打点があるからこその利点もありますが、それは後述します。
ディサイシブはそのレベルの高さにより万華鏡から儀式召喚することはシュリットを絡めない限り事実上不可能です。ですが、裏を返せばレベルが高いため、降魔鏡や反魂術で出すことができる可能性があります。特に降魔鏡で出す機会は多いです。
制圧というのは先攻展開の盤面の強さだけではありません。ネクロスはその点が不得意なので、中盤以降の詰みの一手としての制圧、になります。
特にリリーサーを絡める点では序盤のユニコール、クラウソラス、リリーサー、という3枚を使い、降魔鏡から出すことが出来れば、中盤以降の制圧としては充分です。これは他のヴァルキュルスやトリシューラでは若干力不足ですから、ディサイシブならではだと思います。トリシューラを警戒して手札を伏せる行為に対しても、ディサイシブなら積極的にリソースを奪えますし、モンスターをセットして時間を稼ぐことも許しません。トリシューラやヴァルキュルスを序盤で使ってしまっていたり、また、ディサイシブを維持するために使うということも出来ることから、限られたリソースを運用していかなくてはならないネクロスにマッチしたモンスターだと思います。変わったところでは、手札誘発を多く積む必要のある現環境でも、腐ったヴェーラーや増殖するGを墓地の高レベルネクロスと一緒に除外し儀式召喚も出来ます。

c.打点
3300という打点は、ライトニングを除けば環境に出てきている主なモンスターの中ではずば抜けて高いです。牙王や星態竜ですら一方的に倒せますし、聖槍を受けても2500打点以上のモンスターでなければ倒せません。最上級帝に対しても上から殴れるのは非常に貴重だと思います。
なによりも、打点の高さはライフを取る速度に直結します。ドローゴーした相手に仏、ユニコール、シュリット、反魂術でワンキルまで持っていくことが出来たり、厄介なモンスターを月の書で裏にしてから効果を使って前をあけることでキルラインが4700まで下がります。これで万華鏡トリシューラやヴァルキュルスとソラス、仏追加でゲームエンドです。また、対エクストラモンスターの場合にはクラウソラスと組み合わせて3300(4500)を直接叩き込むことが出来ますし、出せない場合でも0にしたモンスターを仏で倒し、手札効果で2200まで上げられれば3600まで削ることが出来ます。
そこまで都合よくはいかない上に手札消費が激しい等課題はありますが、あるとないとでは高速環境における「倒せるときに倒す」という意識の面で差が出ます。

c.評価
以上の点から、有用性自体はある、と考えています。しかし、これらは他のカードでも出来る、または他のカードならもっといい動きができるのでは?と考える方もいると思います。
ですが、ネクロスは1ターン内に出来る行動回数は基本的に決まっています。そこがディサイシブを有用から必要に変えていく点だと思っています。
行動回数、つまり儀式魔法の使える最大枚数である3回のうちで、最大限勝ちに近づけていかなくてはいけません。そして他のデッキと違い、エクシーズやシンクロで差別化が図れる面は大きくないので、儀式モンスターの種類がそのまま差別化につながることだと思います。
例としてエクシーズなら打点を取るならダイヤモンドクラブキングやライトニング、除去ならカステルやダイヤウルフ、制圧ならジャイハンやフレシアなど、同じ2枚の素材で使い分けが容易ですが(当たり前ですがエクストラにそもそも入ってない場合は考慮しません)、ネクロスはデッキの中に入ってなければ選択することすら出来ません。同じように儀式素材が揃っていても使い分けが出来ないのです。さらに、儀式魔法はそれぞれ固有効果でのリリースの要求の仕方が違い、モンスター効果も同名ターン1のため同じモンスターを連続で出すことを良しとしていません。この点からも、デッキの中に選択肢としてあるかどうかが重要になってきます。
罠を踏む、という弱点を挙げる場合も、見えているまたは予測される神の通告ならトリシューラやヴァルキュルスと比べて「踏みにいかない」という特殊な選択肢も生まれますし、攻撃反応に対しても強く、ブレスルのような効果無効にもトリシューラより被害は少なくて済みます。

d.まとめ
シュリットが制限になっている上に先攻展開の制圧力が高い現環境では、事故札になりうるディサイシブは一見マッチしていないように見えますが、見方によって、運用によって、有用性や必要性は変わってきます。話題にはあげませんでしたが、グングニールやカタストルも同様のことが言えると思います。それだけ様々な視点を持たないと、勝ち抜いていくことは難しい環境である、とも言えます。

EMHERO(竜剣士型)①概説、サンプル

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今期は影霊衣の予定でしたが、予想以上にルーラーが蔓延していたため断念しました。ルーラーを出されると高確率でなにも出来ず負けてしまうことが多く、また帝に対しても不利なため、使っていくにはかなり厳しい状況だと考えた結果です。

次に何を使うかですが、そこでルーラーを立てつつ、EMEmとの差別化を明確に図れるダークロウ擁するHEROとの混合という形になりました。
しかし、HEROはシャドーミストが制限になったため、サブギミックとして積むには単体ではいささか力不足感が否めず、さらにそこに追加する要素として新規の竜呼相打つを手に入れた竜剣士を採用しました。
見にくいかもしれませんが画像のレシピで話を進めていきます。

a.基本コンセプト
とにかく先攻展開です。先攻で盤面を作れるか否かで勝率が変わります。後攻から捲ることは一切考えてません。EMEmとの違いはそこでもあります。
ルーラー、ダークロウ、フレシア、ジャイハンなどのうち2~3種は必ず出しましょう。出せないハンドをもらったら負けです。単純明快、考えることはどこまで展開出来るのか、それだけです。

b.構成の解説
基本的には出張パーツの寄せ集めです。HEROパーツ、EMパーツ、竜剣士パーツ。この三種の必要最低限の枚数です。

HEROパーツは言わずもがなですね。モンスター3種5枚とアライブ3枚は最大限まで、マスクチェンジとエマコを2枚ずつ。重なると弱いパーツは減らしています。
次にEMパーツ、これは最低限ペンデュラムに向かえるだけの枚数になっています。ドクロバットとモンキーボードが3枚、リザードローが2枚。最低限ですがこれを引かないと話にならないので重要です。
最後に竜剣士パーツですが、ラスターPは外しています。理由は単純、ラスターPのシンクロおよびエクシーズに対する制限効果です。基本的にエクシーズを並べていく関係上、制限があってはあまり意味がありません。スケールに貼ることもメリットがうすいのでこの構築では不採用になっています。マスターPでは①打点②自身を割れること③スケールの3点から、この構築においてはラスターPよりも強いと判断しました。
特に②と③が重要で、②はやむを得ず貼った自身を破壊しあとからモンキーボードに変更出来る点、③はリザードローを素引きしたときにもペンデュラムに無理矢理迎える点は、引いたパーツで強引に動きたいこのデッキにマッチしていました。
おまけの終末、サモプリ、ハットトリッカー、ゼピュロスは展開補助として優秀です。ペンデュラム出来る場合にはもちろんのこと、出来ない場合にも気休めに展開出来るため、保険としても使えます。

c.戦略
まず先攻を取ります。
アライブ、モンキーorドクロバット、竜呼、その他
というハンドであればルーラー、ダークロウ、エクシーズモンスター、という盤面になります。一応ダークロウを先に立てることで手札誘発のケアも出来ます。その盤面を維持し、次のターンに再展開、キルします。
リソース切れを恐れて中途半端な展開をするのはやめましょう。手札をすべて使いきって何もむずかしいことを考えずひたすら並べます。増Gはツッパです。ヴェーラーやうさぎはダークロウでケアするか、ツッパりましょう。
蘇生札が入っていないのも基本コンセプトである先攻展開に噛み合わないからです。リビデでは先攻の展開に関与出来ない事故札です。リソースを再利用しようと考えるなら展開しましょう。
エクストラのホープ、ライトニングセットが2枚ずつ入っているのも返しでキルするためです。ビュートやカステル、深淵を立てるより積極的にライフを取りに行きましょう。ダイヤモンドクラブキングやガガガザムライもその考え方です。

d.まとめ
ペンマジラスターPビュートカステルその他いろいろ な高額カードがなくてもEMEmと戦えるデッキです。手札を見てどこまで展開出来るかを考えたら、あとは何も考えずひたすらモンスターを並べていきましょう。制圧モンスターが場を埋め尽くしていくのは圧巻です。初心者にもオススメです。