制限改訂(2016/04/01~) について

今回はレシピやデッキについてではなく、改訂について少し思ったことがあるのでその方面で書いていきます。
なお、改訂内容は知っているものとして書いていますのであしからず。

今回の改訂では環境トップの【EM竜剣士】、二番手として【彼岸】、三番手の【帝】、そしてさらに【インフェルノイド】にまで厳しい制限が課せられ、主要パーツやエンジンが奪われたため動きが大きく難しくなることとなりました。特にEM竜剣士についてはデッキの3割がなくなり、形にならなくなっています。
こうして前回の改訂とは大きく変え、大幅かつ大規模なものとなりました。
ここから考えられる仮説として、制限改訂の目論見は変わっていないのではないか、ということです。


前回の改訂はルーラー、ヒグルミ、ダメージジャグラーの禁止のみ行われ、その前の改訂では慧眼、シュリット、シャドーミストの制限とともにプトレマイオスとノーデンが禁止。その前になると今度は改訂なし、という風になります。

9期に入る少し前に改訂の回数が年4回と増えましたが、実際大規模に改訂するのは従来通りに2回であり、増えた2回はいわゆる緊急改訂のようなものなのではないか、と考えています。パックが発売され続け、カードプールの増加の速度があまりに早くなるため、調整ミスを疑うようなカードが多く発売されることもあり、それらが長く環境にいないよう、追加された二回でそれを最低限抑止し、ゲームの健全化を少しでもはかろうとしている、と。
そうでなければおそらくですが、年明けから今までEMEmがさらにのさばり続けていたということになります。
そういったことを最低限のラインで防ぐための前回の改訂であり、それが見受けられなかったのが2015/7月改訂となります。
ということから、今回の改訂で大規模に規制したことから、次回の改訂はおそらく緩め、もしくは著しくゲームを不健全にするカードを最低限規制するのみではないか、と考えています。

仮説通りにいくとは考えにくいですが、頭の端にいれておくと改訂の誤情報やデマに惑わされることも少なくてすむのかもしれません。

竜剣士②:拡張性と危険性

環境の変化が起こらないまま、来月にはもう改訂というハイペースな状態が続きますが、今回の記事も独自の構築を挙げていきます。

前回、竜剣士はテーマ内での構築を目指せるレベルにある、それを前提としてサンプルを組み立てました。
その後ADSや対人戦を繰り返しこなしていく過程で調整していった結果、いくつかのポイントがわかってきました。それを踏まえて、調整案を提示します。

a.前回の反省点
以前挙げた状態の構築の最大の弱点は、なんといってもライオウの扱いです。
メタカードとして、打点要員としても非常に優秀なカードですが、使い手にもプレイングを強いるカードであるため、ある種諸刃の剣になっていました。そこで、ライオウを一旦はずし、他に拘束力のある置物モンスターをなににするか、そこが課題でした。

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b.拡張性と構築のバランス
レスキューラビットの返し能力や展開性能はずば抜けて高いため、手札誘発に目をつぶっても軸に据える必要があると考え、基準にしました。
それにより置物モンスターがエクストラのモンスター、ここではラギアになりました。
ラギアを構築の範囲内に置くことで
1.デッキ内のバニラの比率が上がりデッキパワーが下がる
2.事故率が上がる
3.ナチュビに繋げるための素材
というポイントが見えます。今回は基本的にバニラの打点の高さによるハイビートを狙いにしているため、デッキパワー面に関しては問題がないと考え、事故率に関しても妥協できるラインに落ち着いたため、採用を決めました。
しかし、デッキ内でおおよそ許容できるであろうバニラモンスターの比率を大幅に越えているため、素引きによる「どうしようもないハンド」の生まれる可能性は依然として捨てきれません。

c.プレイにおいて
このデッキは一見EM竜剣士の下位互換に見えますが、実は大きく差別化を図っている部分があります。そこがプレイにおいて重要な部分でもあります。
一つ目は、レスキューラビットの持つ仕事の幅の広さです。これは、通常であればマスターPをリクルートしマジェスターに繋げサーチを行う、という安定択をラギアと共有する形になります。どうしても展開が弱いとき、主にバックの罠が少ないなどの状況で、さらにマジェスターを出すよりはラギアの効果に賭け、うまく流すことを目的としつつ、最後の詰めとしてカウンター罠を増やす感覚で出すことで、相手の思惑を外しつつ勝ちを近づける想定となっています。このマジェスターなのかラギアなのか、という選択がまずこのデッキを扱う上での重要なポイントです。
二つ目は安定性です。ペンデュラムに向かう安定性はEMに勝るテーマはありません。ですが、このデッキにはその安定性を多少犠牲にしてもいいレベルの強みがあります。それは対ペンデュラムデッキに対する立ち回り安さです。
メタを張られた場合、ペンデュラムに向かえない、もしくはスキルドレインなどを張られた場合でもある程度の戦線維持、またはライフを取る意識などが主です。また、スケールに貼るカードがEMのような展開補助ではなく、レクターやアリアドネなど、スケール効果の部分においてメタ性能、サポートなどをこなす状態にもっていくことが出来ます。これは、眼差しケアをラギアや他のカードで補うことが出来、かつ単騎の打点でビートがしやすいこのデッキならではのプラス点だと思います。
これらはプレイにおいて差が出る部分であり、動かす上で意識すべき面だと思います。

d.さらなる調整
現状の構築では融合とワイアームによる事故ハンドに対する気休めによる展開補助をサンプルとしていますが、他にも幽鬼うさぎ緊テレギミックによるシンクロ軸、ライオウやその他光属性モンスターを増やし同胞の絆を見れるメタ軸、HEROなどの少数で多大なパワーを持つテーマとのタッチレベルでの共存など、純構築をめざしてはいますが、調整案としてはありだと思います。また、エクストラのモンスターの見直し、特にラギアとドルカの選択やイグニスターの追加、他ランク4エクシーズの取捨選択などが自由に行えます。これは既存の型にハマった環境デッキとの一番の差かもしれません。プレイヤーやプレイ傾向、環境や改訂などの要素から、自由に考える余地のあるデッキタイプだと思います。

竜剣士:テーマ内での完結の可能性

年明け最初の記事は竜剣士についてです。
今現実の紙のカードからは離れているので、あくまでも仮想として、理論上のこと、として考えていきたいと思います。

現在、EMEm環境終了直後からEMの新たな相方として竜剣士が主流となり、環境を席巻しています。確かに、EMが相変わらず強い、というのは言わずもがなな面がありますが、竜剣士というカテゴリ、テーマ自体もある種異常なまでの汎用性を持っていると考えています。
なおここでは、竜剣士という表記ですが一部を除き竜魔王も含めています。

a.竜剣士とは
COREで登場し、通常エキスパンションとともに、それらの新規テーマと同時に少数枚追加される形で進化していったカード群です。BOSHでの竜呼相討つの追加を皮切りにテーマとして、最新弾であるSHVIでの追加で、おそらくですがカード群として基本的な部分(ここではOCGのストーリー上での)は揃ったのではないでしょうか。
メインデッキに入るカードとしては
・モンスター
竜剣士ラスターP、竜魔王ベクターP、竜剣士マスターP、竜魔王レクターP、虚竜魔王アモルファクターP
・魔法
竜呼相討つ、真竜の目覚め
エクストラのカードは
爆竜剣士イグニスターP、昇竜剣士マジェスターP、剛竜剣士ダイナスターP
などがあります。

b.強さ
これらのカード群の強さは、まずステータスの高さです。
ラスターとベクターですら1850であり、マスターとレクターは1950と、一般的な☆4アタッカーの水準を超えています。これらはライフを取る速度に直結し、素材およびスケールに置かなくても戦力として戦えることを意味します。ドクロバットエアーマン、ハルベルトなど、1800打点のメリット効果持ちモンスターに対してもデメリットなしで戦闘破壊が行え、代表的なメタモンスターであるライオウに強く出れるマスターとレクターの存在は非常に貴重です。
元来、1950打点のモンスターは完全なバニラモンスターかデメリット持ちが多かったのですが、マスターに関してはスケールとP効果を持っているため、それらのバニラとは一線を画しています。レクターもデメリットに近い、という解釈も出来ますが、明らかなデメリットではないので、これも問題ないかと思います。
打点以外にも、明らかに狙ったようなスケールの設定があります。3と5なので、カテゴリ内で☆4モンスターをPS出来るようになっています。これもまたただの打点の高いバニラ、とは違う形です。

そしてこれらのカードをパワーカードたらしめ、環境に押し上げたのは間違いなく竜呼相討つの存在でしょう。
同様にデッキからモンスターをリクルート出来るカードの代表格、例としてヒーローアライブや予想GUYと比べても、リクルート出来るモンスターが不確定であるという点を除き破格の性能です。速攻魔法であり、しかもリクルート以外にもエクストラ肥やしとスケールのセットを選択出来る大きすぎるおまけがついているので、インフレが目立つ9期のカードの中でも凄まじいものがあると思います。これでいてターン1以外のデメリットらしいデメリットはなく、ライフコストも発動条件もないわけです。
また、そこから展開されるエクストラのモンスターに関しても、それぞれが特定の場所からの展開能力を持ち、イグニスターに関しては対象をとらない除去、マジェスターはサーチ、ダイナスターは破壊耐性があるため、盤面の制圧と展開を同時に出来ます。

c.可能性
基本的には現在、EMと組み合わせたり出張パーツとして非常に高い汎用性を持っている竜剣士ですが、かつての征竜のように純構築によっても戦える可能性は充分あると思います。
ラスターという軸を元に、インフレの影響を受けた汎用性の高いカードを追加していくことで、環境に匹敵するレベルのデッキは少なくとも現状だけで出来上がるはずです。今後、ペンデュラムサポートが来ることが新規カードを得ることと同義になることもまた強化されるというのも期待が高い側面です。

d.サンプル
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上記のレシピはあくまで現段階でのサンプルです。
基本的にはハイビートに近い形を取ります。

・調整
おそらくですが竜剣士カテゴリの枚数がかなり難しいと思います。ベストが全く見えないので、ここに苦労しています。バニラの枚数、特にマスターの枚数が難しいです。今回はベクターを減らしマスターを3枚にしています。
レスキューラビットを採用するならベクターと合わせて3枚ずつ計6枚が確定なのですが、ここではレスキューラビットを避けています。理由としては妨害を受けやすい、竜呼相討つとイグニスター、ラスターの効果で破壊した場合などによりデッキの中から減った状態で引いた場合や、ヴェーラー・増Gの兼ね合いがあり、予想GUYによる安定性を取りました。ラビットの方がパワーは高く、破壊されるデメリットもエクストラ肥やしに使えるため、ここは選択です。
手札誘発は幽鬼うさぎは確定です。緊急テレポートとの噛み合い、チューナーであるため☆4モンスターとシンクロしメテオバーストを出せるのは彼岸に強く出れる点です。
アリアドネはラスターの効果や眼差し、ステータス、そして神系罠のサーチで使えるため重要です。追加のモンスターとしてライオウを採用していますが、使い方が難しい上にうまく機能しなかったり、順番を間違えると自分の首を絞めることになるので注意すべき点です。

魔法に関してはツイツイを優先、羽根帚はツイツイの3枚目に差し替えてもいいと思います。緊急テレポートはリクルートという点で竜呼や予想GUYと同様なため、展開のサポートであり、ペンデュラムできない幽鬼うさぎを召喚権を使わず出せるのも強みです。
そして、この構築で目をひくのは精神操作だと思います。これがあるかないかで、このカードの使い方で勝敗が決まることがあります。無しで組むなら、要らないと判断した場合は別のカードに変えてもいいですが、一度使ってみてください。
罠はアリアドネのサーチ先です。複数枚素引きするのはよくないですが、スケールにアリアドネがあればライフコストを踏み倒せるので少しだけ多めに入れてます。神系だけでなく、他のカウンター罠も視野にいれておくと幅が広がります。

エクストラはEM竜剣士とあまり変わらないですが、シンクロモンスターメテオバーストは必須です。クリアウィングは自由枠なので、好きなエクシーズや他のシンクロなどと入れ替えてもいいと思います。
サイドは一応スキドレはいれておくと便利です。基本的には使い捨て感覚でも仕事は出来るはずなので。他はメタに合わせて、調整した部分で足りないところがあれば随時考えていきたいと思います。

いろいろ考られる幅が広いので、竜剣士というカテゴリの持つ面白さと可能性は非常に魅力的です。

新・ネクロスについて:来期(2016/0101~)の展望

12月も末となり、CSの結果も出揃い始め、新弾によってのテコ入れが入るまではやはり今期の環境の推移と同様の状態です。なるべく早くこの環境に劇的な変化が欲しいところですね。

さて、今回はタイトル通りネクロスの展望です。
ネクロスというテーマ自体に緩和も規制もなかったため、あまり構築やプレイングに変化を出すのは難しいかもしれないですが、大きなポイントにわけて見直す必要があります。

a.環境
EMEm自体は消滅し、またネクロスを使う上での二大障壁の一つであったルーラーが禁止になったため、かなりやりやすくなったと思います。イージーゲームにならず、多少なりともまともにやりあえるため、スタート段階で意識しなくてよくなったのは大きいです。また、バルブとナチュビのギミックも見た限りでは減っているため、二大障壁は両方とも考慮しなくても現段階では大丈夫だと思っています。
しかし、竜剣士EMでは相変わらずの展開力と制圧力、彼岸では相性こそ悪くないものの戦いにくさは残っており、また相性自体も悪く回ってしまうと手のつけられない帝など、環境Top3に対しては不利であることには違いはありません。左腕の代償を得たノイドの復権も向かい風に繋がる恐れがあり、甘い選択は依然として許されないと思います。

b.構築
ネクロスを使うにあたって、来期の構築のポイントとなるのは「バック破壊の枚数」と「サブギミックの選択」だと思います。
特に、バック破壊の枚数、というよりも根本的に採用するか否かで大きく変える必要があるかもしれません。仮想敵である魔法罠をどこにおくか、またツイツイという万能な選択肢と安定のサイクロン、制限カードである羽根帚、先攻展開と永続に対するメタであるタイフーンなど、様々なカードの中から最も効率のいい選択をしなくてはならないのは、デッキスペースが限られるネクロスにおいては無視出来ない点です。採用しない選択肢がある、というのはこのためです。
手札誘発を優先するのか、そして後述するサブギミックの存在が、バック破壊に対する考え方を見直すことになります。

サブギミックの選択については、今期のルーラー・ナチュビという通したら負け、というカードに対するメタを優先し、仮に通しても返せるギミックとしてハルベルトによるエクシーズやマスマバルブによるシンクロ、罠を敷くタイプなど様々な選択があったにせよ、最終的には上記二枚のカードを中心に考えていたと思います。
来期はそれらを考えずに、環境に合わせて選べるため、まずはこちらを決めてから、残りのスペースと相談しバック破壊カード及び手札誘発を決める、という方が望ましいかと思います。

c.プレイング
これに関してはあまり見直すことはないと思いますが、来期はサイズの大きなモンスター、特にイグニスターPの2850、帝や守備のベアト並びに融合ダンテの2800による攻撃力に対する立ち回りが重要になってきます。
ネクロスは全体的にサイズが大きくなく、ディサイシブやヴァルキュルスがあるにせよ、打点を通してビートするだけではかなり厳しいと思います。能動的な除去をトリシューラに頼っていると、余計に考えなくてはなりません。エクシーズギミックも過信は出来ないです。

d.総評
引き続きネクロスを使うプレイヤー、環境に柔軟に対応出来るため新しく使おうと考えているプレイヤー、来期も意外と厳しいので、様々な選択の一つ一つが大事になってくる、ということを理解し、ネクロスというテーマの楽しさを共有出来たらいいと思います。

制限改訂(2016/01~)の影響

12月も半ばを過ぎ、遊戯王も制限改訂が発表、確定しました。
今回は前評判の高かったショックルーラーを筆頭にEMEmのEmでのキーパーツであるヒグルミとダメージジャグラーが禁止になり、前々回のような放置ではないものの、環境そのものを覆すことには至らないものとなりました。
EMEmはフィニッシャーと強力なサポートを失う形にはなりましたが、依然として制圧・展開能力は高いままであり、今期とさして変わらないような環境が予想されます。
しかしそれでもショックルーラーの禁止が与える影響ははかり知れず、特定のカードに頼るタイプのデッキも活躍出来るチャンスが生まれたとみることもできます。

a.変化の兆し
トップデッキであったEMEmというデッキタイプが事実上消滅したため、形式的には変化すると思いますがEM関連は無規制なので、Emの代わりを入れるだけで解決すると思います。それだけEMというカテゴリの持つカードパワーと親和性は高く、Em関連の禁止というトカゲのしっぽ切りだけではむしろ固定観念を廃し、より対策が取りにくくなる恐れもあります。
巷では今期から少数あった竜剣士パーツを取り入れる型にレスキューラビットを追加するタイプや、マジェスペクターと組み合わせるなど、各々手探りで構築を考えている状況だと見受けられます。構築が定まらないうちは安易な断定は避けたいですが、現状ではまだ一強環境と言っても問題ないレベルです。
結果的に無規制となった彼岸と帝ですが、無規制故にテコ入れがないと構築を大幅に変えることが難しいため、これも今期と同様になるかと思います。

b.復権
環境トップ以外のデッキとしては、どうしてもショックルーラーに屈してしまっていたデッキが禁止により復権するチャンスが与えられています。筆頭としてはやはりネクロスだと思います。これに関してはまた別の機会に詳しく書きたいと思います。
他にもシャドールやクリフォートやHERO、ノイドやマジェスペクターもポテンシャルを発揮することが出来る可能性が今期よりも増し、環境の多様性も守られることを期待しています。

c.懸念
今回のEmの禁止というだけの改訂は、ある種前々回の改訂の規制なしよりも厳しいものだと思います。名目上の改訂だけ行い、中身はほとんど変わっていないため、プレイヤーに丸投げする形になってしまっては本末転倒です。そしてBOSHのカードであるモンキーボード、ツイン・ツイスター、竜呼相討つ、神の通告を見ればわかる通り、インフレが止まるところを知らず、カテゴリを乱発し一発屋状態にしてしまうなど、プレイや構築云々のプレイヤーによる部分ではなく、もっと根本的なメーカーによる部分に対する懸念があります。これはもう少し様子見ですが、10期の開始時にはなんらかの変化が欲しい、と思います。

d.まとめ
来期は今期よりもカードパワーで押し切る部分とプレイングが問われる部分が明確に分かれると予想しています。ルーラーという最大の武器と最大の障害がなくなったことは多かれ少なかれいい影響を及ぼすのではないでしょうか。また、年明けの新制限環境開始直後には9期最後のパックが、2月にはストラクチャーRとGSが控えているため、ここでもまたターニングポイントとなると思います。

超量について①概説、サンプル

今期も残すところあと2週間ほどで制限改訂が発表され、環境の固定化に対する是正が施されることを予想し、現環境も終わりを迎えると同時にまとめ、そして新たな環境に対しても向かっていく時期に差し掛かってると思います。
最終的にはEMEmの一極化、それに追随する形で彼岸、そしてその下に帝、という風に推移していきました。そのため、何を考えるのにも必ずEMEmを意識しなくてはならないため、構築やプレイングにも幅が出ず、非常に窮屈な状態だったと思います。今回は、そんな状況ですが、自由な発想による、少し面白いデッキを考えていきたいと思います。

11月に発売されたSPWRの新規テーマのひとつである超量は、優秀な各レベルの汎用エクシーズと非常に強力なフィニッシャーであるグレートマグナスを主体とし、下級とフィールド魔法を駆使しそれらをいち早く並べていくタイプのデッキです。
元来、エクシーズは同レベルのモンスターが2体以上並んで初めて行える召喚方法であり、特殊召喚を一度経由しない限り、基本的には行えない召喚方法でした。ペンデュラムやその他展開カードなどもそうですが、とにかくモンスターを並べていき、それらをエクシーズするという形での召喚が主だったと思います。
超量は、フィールド魔法があれば手札コスト一枚でエクシーズモンスターを展開出来るため、例に出すと増殖するGやミドラーシュの影響を最小限に止めることが出来る可能性があります。グレートマグナスに繋げる条件も比較的緩めに設定されているため、将来性は高いデッキタイプだと思います。

a.組むに当たって
基本的にまだ種類が少ないため、一部を除いてテーマカードは最大限積んでいく方向が望ましいと思います。そしてそれらをサポート出来る汎用カードを投入し、原型を作る状態です。
エクシーズモンスターは素材縛りがないため、どのようなカードでも繋げることが出来ます。それにより超量をメインに据えなくても、従来の3、4、5軸の出張ギミックによっても戦えるため、構築の幅も広いといえます。

b.特色
超量はサーチ、サルベージ、展開が一律に揃っており、テーマ内でも一応完結しています。そのため、先ほども書いた通り、他のギミックとの親和性も低くなく、プレイヤーそれぞれの個性によって違う動きが出来ます。エクシーズ自体の性能も高いため、構築に応じて柔軟に対応出来ると思います。
しかし、テーマ内で完結させるためには、あとひとつ足りません。それはフィールド魔法の手札コストによる継戦能力、リソースの確保です。

c.構築案
継戦能力は、今現在の環境デッキにおいては標準搭載状態であり、それの有無で環境か否かが分かれているといっても問題ないレベルです。持続的なリソースの確保が戦っていく上では必要不可欠であり、超量を純構築するにはその点が足りません。そこをいかに補うかが構築の課題点だと考えています。
手札リソースの確保を考えるならばヴォルカニック、圧倒的なカードパワーによる展開が出来るEMやEm、汎用性の高いAFなど、様々なパターンが考えられますが、ここではそれらとは違うテーマと複合させていきたいと思います。それは、マジェスペクターです。

d.超量マジェスペクター
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マジェスペクターは、場に出すことで後続や妨害札をサーチし、手札を切らすことなく継続させることが出来ます。ガジェットなども同様ですが、マジェスペクターはペンデュラムカードであるため、スケールを揃えることで恒久的にデッキを圧縮しつつ手札を増やせます。その点では継戦能力は高いといえます。また、マジェスペクターは3、4軸であり超量のエクシーズに繋げやすく、耐性によりある程度の場持ちも期待出来、さらに除去も行えるため、補助テーマとしては及第点だと思います。

マジェスペクターを混ぜる理由としてさらに、超量士グリーンレイヤーの存在があります。このカードはマジェスペクターと同じ風属性・魔法使い族のため、一部サポートを共有出来ます。テーマ外ではありますが、活かしていける点だと思います。
また、マジェスペクターは本来エクシーズに使ってしまうとエクストラに戻らないため、リソースの確保がしにくい面がありますが、リビデや蘇生によって墓地から再び場に出せるため、これも共有出来ます。

e.基本的な動き方
超量をメインにしている構築なので、それに沿った動きをとります。そこにマジェスペクターを絡め、フィールド魔法の手札コストを確保しつつペンデュラムによる展開やエクシーズの補助を行えればベストです。
緊急テレポートから入ることが出来れば、ブルーレイヤーからサーチを行い、ラクーン等で手札を増やしながらフィールド魔法を使わなくてもエクシーズを立てることが可能であったり、複数体エクシーズを立てることも出来ます。準備が整ったらグレートマグナスを出しにいき、制圧しながらさらに展開していくことで万が一グレートマグナスを返されたときでも対応がしやすく、また、グレートマグナスを倒させない動きもとれます。一応マジェスペクターのフィールド魔法も入っているため、マジェスペクターオンリーでも時間稼ぎが出来ることも考慮に入れられます。
しかし、メリットばかりではなく総じて複雑なデッキであるため比率や引きとの噛み合いがシビアであり、事故を起こすことも多いのでよく考えて構築していくことが必要です。これはあくまでサンプルなので、他にも有用なギミックを積むことや、また新たなテーマとの混合なども充分あり得ます。

f.まとめ
一見まったく噛み合っていなくても、よく組み立てていくと面白い発見が出来ると思います。環境の一極化で固定観念のようなものをもった状態ではなく、現環境に対するまとめや新環境に向けた柔軟な発想をもち、考えていくことがカードゲームの醍醐味のひとつではないでしょうか。

ネクロスについて⑦バック破壊

環境が固定化し、多くのプレイヤーは次の環境を見越した構築へ移行する傾向にあると思いますが、このシリーズ記事ではあくまで現環境における考察を示していきます。今回はネクロスのバック破壊についてです。


a.ネクロスのバック破壊の意義
ネクロスは原則、決まったリソース及び行動回数においてプレイを進めていくデッキであり、構造上無理な展開や思考停止のプレイなどを構築段階から抑制しているデッキです。そんなネクロスで、罠一枚で動きを止められてしまうことは即敗北に繋がります。それを考慮した上で、相手の罠を突破する手段としてのバック破壊カードですが、ネクロスは他のデッキと違い一枚で動けるデッキではありません。構成の段階でバランスを取っていく必要があります。この場合のバランスとは、相手の罠との噛み合いと自分の展開札、リソースによる優位にとれる部分と不利になる部分の配分です。いわゆる裏目を排除し、いかにして自分の動きを通すか、の点においてバック破壊は切っても切れない関係にあると思います。

b.具体性
ではいったい仮想敵として、バック破壊が必要になる場面はいつなのでしょうか。環境的に羽根帚でふらサイドに入る状態において、最優先で破壊しなければならない罠とはなんなのでしょう。
答えはいわずもがな、神の通告です。
神の通告は、アリアドネによってサーチのきくカウンター罠になってしまいました。見えていれば踏みにいかないように迂回する行動をとれば直撃は避けられますが、いつもそういった行動がとれるとは限りません。バック破壊カードは仮想敵を見極め、それらのカードに具体性を持たせなければ採用圏内にいれることが難しいです。なぜなら、ネクロスは手札の質と盤面の強さ、打開力、優位性が平行であり、不要なカードを引くということ自体がそもそも厳しいデッキだからです。儀式は一枚ではどうやっても行うことが出来ず、また止まることも多い難しい召喚方法です。

c.採用候補
現環境では、羽根帚よりも汎用性が高く、複数枚破壊出来るツインツイスターが優先される傾向にあります。また、従来通りのサイクロンや、先攻展開用のタイフーンがあり、取捨選択が重要です。その都度盤面において使い分けられるわけではないので、何をするかに絞ってメインとサイドで使い分けていく必要があると思います。また、手札との兼ね合い、ならびに構築段階から優先順位を導きだすなど、プレイヤーそれぞれの考えとも比べていかなくてはなりません。
羽根帚に関しては、必須ではありますが、ネクロスというデッキには噛み合わない札だと思っています。そのためツイツイを優先する理由もわかる、という状況です。手札コストがあるため無闇な採用は出来ませんが、流行りの通告や永続罠に対しても強く撃てる場合があるため、羽根帚を差し置いてでも現状採用しなくてはならないと思います。

d.場合分け
仮にツイツイを採用しバックを破壊する場合、どのような状況が考えられるか、ここが採用するかしないかの分かれ目だと思います。
どの部分に当てられると被害が大きいのか、少ないのかなど、相手のプレイ傾向にもよる部分ですが、考える価値がある部分です。
①初動の仏の場合
ここに当てられた場合、儀式が揃っているときはあまり痛くないですが、揃っていない場合は一番の痛手になります。場にモンスターが消え、儀式も出来ない状況に追い込まれるため、返すことも難しくなります。その裏目を回避するためにバックを破壊することは充分有用ですが、この場合ではツイツイだと手札コスト分破壊しなければまた返しでの対策を取らないとすぐに優位が入れ替わる恐れがあります。
②仏のサーチ先の効果に撃たれた場合
これは基本的にソラスやブリュなど、サーチ後の追加の動きに対するものです。ここに当てられた場合、こちらの想定は大いに崩れますが、相手側も裏目が多く、ギャンブルに近い状態だと思います。この想定は手札にパーツを溜め込むことで回避しやすくなります。ツイツイで割って動くよりもうまく回避して動く方がいいため、こういった場合はサイクロンで事足ります。
③儀式先に当てられる場合
激流葬や奈落も、基本的にはここに当ててくると思われますし、通告もここに当てるのが最も裏目が少ないです。リソースと行動回数を使っているので、動ける回数を大幅に減らせるためです。
この想定はサイクロンだけでは足りない場合があるため、羽根帚やツイツイなどの複数枚破壊出来るカードが必要です。

e.原則と例外
ネクロスは他のデッキと違い、動くために必要なカードが多いため、極力展開に関わらないカードは減らす方向の方が望ましいです。ですが、環境的にそれらが求められている以上、ある程度の枠を割いていかないとよりイージーウィンをされやすくなります。それらを未然に防ぐためにも、羽根帚以外のバック破壊カードは必要です。しかし、どれも一長一短なので、パターンや環境に応じて変えていかなければなりません。下手にとりあえずで採用してしまうと、思わぬところでそれが足を引っ張る自体になりかねません。自分はいったいどういう状況を想定してそのカードを選択したのかを今一度確認することが大切です。
非環境テーマでは抜きん出た強さのため、一枚一枚に意味をもたせることが、環境デッキに対する対抗策だと思います。