壊獣について②

前回に引き続き壊獣についてです。
何戦かマッチを行い、見えてきた部分について書いていきます。

a.壊獣の選択
相手に渡す壊獣ですが、基本的にガメシエルになると思います。打点的にも効果的にも適任に思えますが、出したターン内にガメシエルを突破しないと3000のDEFによって途端に不利になります。そこで、ドゴランなどの打点の高いモンスターを相手に渡し、突破出来なかったとしても守備で時間を稼がせず、かつ効果を使わせない状況にするのがベターと考えます。
特に妨げられた壊獣の眠りによって同時に出す場合には意識しておくと返しに対応しやすいと思います。

b.横に並べるモンスター
前回の記事でも触れたように、とにかく壊獣は2体以上同時に並ぶことは例外を除きありません。そのため、ライフをとれずに負けることが考えられます。
そこで、NS権の余りがちな壊獣において、横に置くモンスターの制圧力が試されます。
ライオウや雪花などのメタモンスターを置くことで、打点の確保及び相手の動きの阻害を促進、特に壊獣自体がそういった相手の動きの阻害を主にしているため、方向性は違えどメタという観点では近いと思います。

c.ブラフと先入観
自分の場合ですが、わざとEXを0にしています。理由はもちろん0帝を警戒させるためです。そうすることでモンスターを出してくるので、そこを壊獣で叩きます。
こちらが壊獣だとわかると、二戦目以降は後攻をとってくることが多いので、前述したメタモンスターによる制圧が効いてきます。もちろん手札に壊獣がなくても「出したら壊獣にされる」というブラフにも繋がり、変に展開するより安定択をとるプレイが増えるため、あらゆるカードが刺さりやすくなりこちらが有利になります。

d.注意点と改善点
あまりメタによせすぎると、たった一枚の永続罠によって詰む可能性が増えたり、逆に噛み合わないハンドが増えたりと事故要素足り得るものが多くなります。特に壊獣カウンターを乗せるカードをKYOUTOUウォーターフロントに頼るとそれが顕著になるので、壊獣の効果を使わず純粋にメタと打点で勝負する場面も想定しておきましょう。
バックを割るカードや厄介な置物モンスターに対する対策もメインからある程度積んでおくといいかもしれません。
いずれにしろ、相性云々のデッキではないので、総じて玄人によるプレイングスキルや経験からいかに最適解を導けるか、が鍵となると思います。

e.追記
レシピは後日また考察と共にあげる予定です。

壊獣について①

久しぶりの更新となります
今回は海外新規テーマとして壊獣をフューチャーします

a.壊獣の強み
あらゆるモンスターをリリースで飛ばせるため、強力な制圧力を持ったモンスターも無力にすることが出来、かつサイズ差で圧倒できるため、少数精鋭のデッキに対しては強く出れます。特に一手一手のミスもサイズ差やメタ能力でごまかしが効くため、初心者のみならず玄人でも立ち回りに困る場面は少ないと思います。

b.壊獣の弱み
相手がモンスターを出さない、もしくはSS封じを出すなど、こちらの動きの前提を崩してくるデッキに対しては非常に弱く、なんらかの対策を練らなければ完封される恐れもある、ある意味ギャンブルに近いデッキであると思います。これはプレイング云々で逆転出来るわけではないので、メイン以外にもサイドでそういったカード軍に対するカードは多めにいれる必要があります。

c.混ぜ物に関して
グレイドルや様々混ぜ物にとして候補に上がりますが、結局やることは「壊獣大決戦」をやらなければならないので、混ぜ物によって本来の動きを制限はれるよりは純構築に近づける方が壊獣の動きがしやすいと思います。
NS権の余りは下記カードで補います。

d.混ぜ物候補
自分は雪花魔封じやライオウスキドレなどのメタビ要素を組み込み、突破してくるところを壊獣の餌とし、打点やカウンターによる効果によって有利を保ちます。
グレイドルでも問題はないですが、壊獣を取り戻すよりももう少しうまい動きがあると思い、混ぜていません。壊獣が要求するのはNS権によって壊獣の動きを大きくサポートすることなので、一枚で制圧力を持ったモンスターを混ぜることが望ましいと考えています。

e.まとめ
弱点は既存のデッキに比べて多いですが、1枚1枚の能力は高く、制圧モンスターを並べるデッキに対して非常に強く出れるため、いかに相手を動きにくくするか、が課題となります。打点や各種効果などをうまく使い、どう動くかをその場で考える、現代の高レベルモンスターを並べるデッキにも、小型モンスターを並べるものなど、そういったアーキタイプにうまく立ち回ることが大切です。

アンケートから見る想定盤面と選択肢-本当の安定択とプレイスタイル-

Twitterのアンケート機能により、以下の質問をしまし、結果がでました。
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まず書くにあたって、あくまで意識調査なので
・具体的な環境
・相手のデッキタイプ
・ライフ差
・ビュートの表示形式
・何ターン目なのか
・自分の把握できているリソース
・何戦目なのか、残り時間 etc
といった詳細な状況は書きませんでした。
書いてしまってもよかったのですが、書かない方がプレイヤーそれぞれが自由に考えることができ、気がるさも増すと考えました。
このシンプルな状態からどう考え、どう選択をするプレイヤーが多いのかというのが重要、の判断からです。

a.結果考察の前に
一見、与えられている情報は少なく、「こんな状態からでは判断出来ない」というプレイヤーも少なくないはずです。
ですが、そう断定する前に「与えられている情報から、どこまで想定出来るのか」を考えていく方がいいと思います。
この質問の場合

①自分のデッキ内に少なくとも4種4枚のHEROが残っている可能性
②相手はビュートをエクストラに入れていて、かつ出すことが出来るデッキである可能性
③相手はビュートの効果を使うことが出来る状況であり、盤面の枚数的に不利だった、もしくは使う前は同数でビュートのSSで枚数が減った可能性

と、少し考えるだけで3つの可能性が生まれます。

ここからもう少しそれぞれ掘り下げると
①はデッキ内リソースが残っている、つまり自分は事故を起こしているか序盤であるか、全く別の展開方法を使ったか、回収した等である可能性
②はランク4主体のデッキ、もしくはそれに準ずるギミックが積まれているデッキである可能性
③は少し無理矢理ですが、手札が0であることから展開した上でのビュートである、またはリソース管理が下手か

という解釈も出来ます。

ここで、自分はいったいどういった状況下を想定し、カードを選んだのか、ということを今一度確認してみると
「ここまでしてたらもっと違う選択をした」
「深読み、こじつけすぎる」
「もっといろいろ考えられる」
などの意見も生まれるかもしれません。

b.結果考察
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上から順番に見ていきましょう。

エアーマン
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妥当なところだと思います。普通に何も考えず、または深く考えても、どちらにせよ取りうる選択でもっとも安定択でしょう。
NSからバブルマンをサーチ、エクシーズによってビュートを除去、返しのトップで逆転されなければそのまま流れを持っていける可能性まで考えられます。
安定択とは書きましたが、エアーマンを選んだ人は多かれ少なかれ自分が「勝っている状況」の想定ではないでしょうか。
カステルなどでビュートを退かす、ライトニングで打点を取りに行く、ダークリベリオンで攻撃力を得ながら、とにかくそういったライフ差を詰める意識。あとはフレシアやジャイハンといったモンスターで様子見の選択をしても問題ない程度の余裕がある、などなど。
また、仮に「負けている状況」でも同じ。エアーマンに繋げることでなんらかの打開策を得られる可能性は高いです。
なので安定志向、よく考えてプレイをしているタイプのプレイヤーだと思います。

・シャドーミスト
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この状況でシャドーミストに繋げる人は、ETを想定?しているのか、とにかく時間を稼ぎたいのか、そういった想定ではないでしょうか。単純になんとなく、やネタで、という人の方が多いかもしれませんが。
サーチして守備でセットすれば、モンスターを引かれない限りライフは守れますし、戦闘破壊されればサーチに加えて次のドローがあるので、可能性が広がります。相手のトップでなんらかのカードを追加で引かれてもライフ差がついていれば勝ちのETで無理をしない、確実に勝てる見込みがあるなどなど。
そういった想定であれば、盤面以外を気にすることが出来る、場慣れしたプレイヤーでしょう。

・バブルマン
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一番やっかいなのがこの選択肢です。
書かれている状況から、バブルマンのドロー効果が通ることは確実といえるので、アドバンテージ差を一気につけて引いたカード次第ではそのまま勝つことも出来る可能性があります。
リプで頂いた回答では
「バブルマンをサーチしてSSし2ドロー、そこでブラホと二枚目のバブルマンを引く」
といったものがありました。これを例にすると、二枚目のバブルマンでエアーマンと蘇生が引ければ相手が8000あってもワンキル出来ます。これはバブルマンならではの可能性です。
他にも引いたカードによって取りうる選択が大幅に変化するのですが、ここで想定される状況は
「バブルマンのドローに賭ける以外に勝つ手段がない」
「状況が状況なのでせっかくだからバブルマン」
のどちらかかと思います。
後者の想定の方は気軽に考えていただけているので、普段から「遊戯王というゲーム」を楽しめてるプレイヤーやアニメファンなどが考えられますが、考察する上で重要なのは前者の場合です。

先ほど安定択としたエアーマンではなく、バブルマンのドローに賭けるということは追い詰められている、または例とした場合のように「ドローによって勝つ手段がある、勝てる自信がある」や、全く別の発想になるので広げませんが「混ぜ物」としてHEROを考えている場合などもバブルマンを選択する可能性がありえます。

いずれにせよ、安定択でないが故に総じて不安定であり、思いきった行動であることはたしかでしょう。しかし、リターンも大きい。2ドローも出来ればなにかしらの行動は取れます。
この狭間で実際どう考えるのか、この選択に至るための盤面の想定はどんなものだったのか、そこを整理してみるといざというときの備えも考えられます。

・ブレイズマン
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この選択を取ったプレイヤーは可能性として「テキスト把握ミス」が挙げられます。
ブレイズマンの効果は①②、1ターンに一度、どちらか一つしか使えません。また、②の効果使用後は融合モンスターしかSS出来ません。
ここを把握していなかったために選択してしまったなら、もう一回そこを踏まえて考えてみるのもいいと思います。ネタで、という目的でも同じです。

しっかりとブレイズマンを選ぶ理由としては、シャドーミストを墓地に置いておくことで次のターン以降蘇生札を引いても展開出来るようにし、かつデッキ圧縮を行う、という目的が考えられます。ただし、これも「勝っている、優勢である」状況の想定であり、明らかに劣勢の場合には選択肢として取れるものではない、と思います。

c.結果から個人的に
基本的には二択だったと思います。エアーマンか、バブルマンか。他の二つ、シャドーミストとブレイズマンはある種のダミー回答のようなものでしょう。正解不正解を問うたわけではないので、ダミー回答にいれている方がいたのも気がるさを証明するのにいい感じでした。

エアーマン派のプレイヤー、バブルマン派のプレイヤー。割合として差が開かなかったこと、各自で考察していただいていたプレイヤーの意見等も含め、

エアーマン
傾向として、ビュートを返したあと、どう返されないか。また、ビュートが攻撃表示である、という風に考えているのか、それともエクストラの選択肢が狭まった状況を考えているのかはわからないがライトニングに繋げる、という回答が多かったように感じた。ライフ差を意識したプレイが重視されている感覚。
・バブルマン派
傾向として、なぜ自分がそういう盤面になったのか、バブルマンで引いたカードがなにかによるとしても、逆転可能なカードが残っているという考え。罠を引いていなす、という回答もちらほら。ドローでワンチャン、のような博打的要素も考慮内であり、構築段階から意識。

もちろんプレイヤーの数だけ思考はあるので、あくまで個人的に感じた傾向の一例として、です。

選択肢外ではありましたがアナネオで相打ち、エマコじゃなくてミラクルフュージョンを引いてくる、などもあり、様々な構築や発想が面白いと思いました。ミラクルフュージョンは墓地リソースが不明な分博打要素が強まったり、アナネオは歴が長いプレイヤーは考えても無理はないです。それだけ枠にとらわれない柔軟性は楽しむ要素においては必要になるものだと思っています。

d.まとめ
今回はHEROを元に、たくさんの人にご協力いただけて考察が出来たのはとてもありがたかったです。シンプルな分、個々人での深いところまでの状況分析はそれぞれの個性、プレイスタイルが見えてくる非常に大きな部分です。

現環境でプレイしているプレイヤー、特に9期は安定択というものが大きく考えられている傾向が強い、と思います。
Twitterなどでの「相手のデッキ枚数、デッキタイプは不明、この初手からどう動くか」といった質問や、アンケートが多いのもうなずけます。安定択は勝負である以上持っておくべきものだと考えていますが、同時に固定観念にとらわれないものも必要です。
その「安定択」とした選択は本当に合っているのか、逆に「安定択」としなかった選択をした場合はどうなっていたのか、などのフィードバックはもちろんのこと、そこからテーマや構築以外の部分、自分のプレイ傾向というものをつかめたら、もっと面白くなる、考えやすくなるのではないか、と思います。
普段から考えてプレイをしているプレイヤーとしては物足りない考察かもしれませんが、考える方向としてどうするのがベターなのか、というのを選択肢を広げて考えていくのも、プレイングの一つではないでしょうか。

今期の遊戯王についての客観的感想

久々の更新です。
今期はプレイヤーとしてではなく、客観的に環境をぼんやり眺めている感覚なので現環境で実際にプレイをしているプレイヤーとは少し違うかもしれません。
さらに今手元にあるデッキがHEROのみなので、そこから考えていきます。

a.環境トップとの差
目下の環境トップとされているメタルフォーゼ、青眼、SR幻影彼岸と、その他様々なデッキタイプがひしめく、一見群雄割拠のようですがやはりそこには大きな差があります。それは「制圧力」と「維持能力」です。
環境トップとして名前のあがるテーマの制圧力は毎度のこと高いのは確かですが、今期は返すことが出来ないほどのパワーがある盤面に加えて「返すことの出来る可能性のあるカードやテーマが少ない」ことが特徴のように思えます。
半年ほど前のEMEm環境時や、また一年ほどまえのプトレ環境のときのように、各デッキパワー差が大きく開いている、または特定のパワーカードによってデッキパワー差が縮まっているといった状況ではない、特殊な状況であるとも言えます。
維持能力については、耐性持ちのカードが増えたため、維持しようとしなくても場持ちの良さで維持出来てしまうことが、これも以前とは少し違うかもしれません。

b.具体的に
HEROの先行展開の盤面、例えば
ダークロウ、ジャイハン、罠罠
といった盤面、罠の種類にもよりますが、これらのモンスターには具体的な耐性があるわけではありません。なので、罠を剥がされた瞬間にモンスターは無防備になります。個々の効果によって間接的に耐えることも可能ですが、直接的に「○○が効かない」という効果を持っているわけではありません。
しかし、マジェスペクター・ユニコーンやカオスMAXなどは「効果では破壊されず対象にならない」という具体的な耐性を持っています。Pモンスターはこの点でいえば間接的な部類ですが、ある種の破壊耐性を持っている状態と考えることが出来ます。彼岸のベアトリーチェも具体的な耐性ではありませんが、後続を呼んでくることや展開札になりうるため、これもモンスター自身が耐性を持っている状態です。
かつてのカードでいえばオピオンが汎発感染をサーチすることで魔法罠に耐性を得ている、という解釈が出来ますが、デッキスペースを一枚使っていること、隙もあること、常時の耐性でないことなどから、別物だと考えています。
このように、従来のデッキやテーマでは強力なモンスターを魔法、罠やその他のモンスターでサポートするという基本的な形を、モンスター一枚で行うことが出来てしまっています。
同様のことはDUEA環境のシャドールからカードプールが変遷する度毎回ありましたが、インフレにより得ている耐性が強くなっていると思います。

c.戦術面
以上のことから、メインやサイドにサタンクロース、闇の護封剣、ウェーブフォースなどが散見されるようになっています。
展開する側はこれらをケアしながら展開し、また展開される側はそれを返したあと制圧し返すことを考えながらプレイをする、一見これまでの遊戯王と同じように思えます。
しかし、以前と違うのは「デッキが展開を返すのではなく特定のカードが展開を返す」ということです。
EMEmやEM竜剣士、遡るなら征竜になりますが、環境トップ同士のミラーマッチの際は特定のカードに頼りつつもデッキパワーで展開を返す動きがあったのに対し、今期は「特定のカードで展開を返されたから負け」という単純な結果に終わっている場面を見ることが増えたような感覚がします。
これはカードパワーは上がっているのにデッキパワーとしては、以前より下がっている、デフレ傾向であるが故なのではないか、と考えています。

d.まとめ
これらは個人の感覚なので、実際現場でプレイヤーが感じていることとは違う可能性が高いですが、客観的に見ると
「やること、目指すことは変わってないのにやられ方、負け方が違う」
というある種疑問が出るような環境である、というのが感想です。
カードプールの増加速度もどんどん増しているため、ついていけるプレイヤーがどれだけいるのか、またこの現環境での遊戯王についてどう考えるのか、プレイヤーの意見も気になるところです。

制限改訂(2016/04/01~) について

今回はレシピやデッキについてではなく、改訂について少し思ったことがあるのでその方面で書いていきます。
なお、改訂内容は知っているものとして書いていますのであしからず。

今回の改訂では環境トップの【EM竜剣士】、二番手として【彼岸】、三番手の【帝】、そしてさらに【インフェルノイド】にまで厳しい制限が課せられ、主要パーツやエンジンが奪われたため動きが大きく難しくなることとなりました。特にEM竜剣士についてはデッキの3割がなくなり、形にならなくなっています。
こうして前回の改訂とは大きく変え、大幅かつ大規模なものとなりました。
ここから考えられる仮説として、制限改訂の目論見は変わっていないのではないか、ということです。


前回の改訂はルーラー、ヒグルミ、ダメージジャグラーの禁止のみ行われ、その前の改訂では慧眼、シュリット、シャドーミストの制限とともにプトレマイオスとノーデンが禁止。その前になると今度は改訂なし、という風になります。

9期に入る少し前に改訂の回数が年4回と増えましたが、実際大規模に改訂するのは従来通りに2回であり、増えた2回はいわゆる緊急改訂のようなものなのではないか、と考えています。パックが発売され続け、カードプールの増加の速度があまりに早くなるため、調整ミスを疑うようなカードが多く発売されることもあり、それらが長く環境にいないよう、追加された二回でそれを最低限抑止し、ゲームの健全化を少しでもはかろうとしている、と。
そうでなければおそらくですが、年明けから今までEMEmがさらにのさばり続けていたということになります。
そういったことを最低限のラインで防ぐための前回の改訂であり、それが見受けられなかったのが2015/7月改訂となります。
ということから、今回の改訂で大規模に規制したことから、次回の改訂はおそらく緩め、もしくは著しくゲームを不健全にするカードを最低限規制するのみではないか、と考えています。

仮説通りにいくとは考えにくいですが、頭の端にいれておくと改訂の誤情報やデマに惑わされることも少なくてすむのかもしれません。

竜剣士②:拡張性と危険性

環境の変化が起こらないまま、来月にはもう改訂というハイペースな状態が続きますが、今回の記事も独自の構築を挙げていきます。

前回、竜剣士はテーマ内での構築を目指せるレベルにある、それを前提としてサンプルを組み立てました。
その後ADSや対人戦を繰り返しこなしていく過程で調整していった結果、いくつかのポイントがわかってきました。それを踏まえて、調整案を提示します。

a.前回の反省点
以前挙げた状態の構築の最大の弱点は、なんといってもライオウの扱いです。
メタカードとして、打点要員としても非常に優秀なカードですが、使い手にもプレイングを強いるカードであるため、ある種諸刃の剣になっていました。そこで、ライオウを一旦はずし、他に拘束力のある置物モンスターをなににするか、そこが課題でした。

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b.拡張性と構築のバランス
レスキューラビットの返し能力や展開性能はずば抜けて高いため、手札誘発に目をつぶっても軸に据える必要があると考え、基準にしました。
それにより置物モンスターがエクストラのモンスター、ここではラギアになりました。
ラギアを構築の範囲内に置くことで
1.デッキ内のバニラの比率が上がりデッキパワーが下がる
2.事故率が上がる
3.ナチュビに繋げるための素材
というポイントが見えます。今回は基本的にバニラの打点の高さによるハイビートを狙いにしているため、デッキパワー面に関しては問題がないと考え、事故率に関しても妥協できるラインに落ち着いたため、採用を決めました。
しかし、デッキ内でおおよそ許容できるであろうバニラモンスターの比率を大幅に越えているため、素引きによる「どうしようもないハンド」の生まれる可能性は依然として捨てきれません。

c.プレイにおいて
このデッキは一見EM竜剣士の下位互換に見えますが、実は大きく差別化を図っている部分があります。そこがプレイにおいて重要な部分でもあります。
一つ目は、レスキューラビットの持つ仕事の幅の広さです。これは、通常であればマスターPをリクルートしマジェスターに繋げサーチを行う、という安定択をラギアと共有する形になります。どうしても展開が弱いとき、主にバックの罠が少ないなどの状況で、さらにマジェスターを出すよりはラギアの効果に賭け、うまく流すことを目的としつつ、最後の詰めとしてカウンター罠を増やす感覚で出すことで、相手の思惑を外しつつ勝ちを近づける想定となっています。このマジェスターなのかラギアなのか、という選択がまずこのデッキを扱う上での重要なポイントです。
二つ目は安定性です。ペンデュラムに向かう安定性はEMに勝るテーマはありません。ですが、このデッキにはその安定性を多少犠牲にしてもいいレベルの強みがあります。それは対ペンデュラムデッキに対する立ち回り安さです。
メタを張られた場合、ペンデュラムに向かえない、もしくはスキルドレインなどを張られた場合でもある程度の戦線維持、またはライフを取る意識などが主です。また、スケールに貼るカードがEMのような展開補助ではなく、レクターやアリアドネなど、スケール効果の部分においてメタ性能、サポートなどをこなす状態にもっていくことが出来ます。これは、眼差しケアをラギアや他のカードで補うことが出来、かつ単騎の打点でビートがしやすいこのデッキならではのプラス点だと思います。
これらはプレイにおいて差が出る部分であり、動かす上で意識すべき面だと思います。

d.さらなる調整
現状の構築では融合とワイアームによる事故ハンドに対する気休めによる展開補助をサンプルとしていますが、他にも幽鬼うさぎ緊テレギミックによるシンクロ軸、ライオウやその他光属性モンスターを増やし同胞の絆を見れるメタ軸、HEROなどの少数で多大なパワーを持つテーマとのタッチレベルでの共存など、純構築をめざしてはいますが、調整案としてはありだと思います。また、エクストラのモンスターの見直し、特にラギアとドルカの選択やイグニスターの追加、他ランク4エクシーズの取捨選択などが自由に行えます。これは既存の型にハマった環境デッキとの一番の差かもしれません。プレイヤーやプレイ傾向、環境や改訂などの要素から、自由に考える余地のあるデッキタイプだと思います。

竜剣士:テーマ内での完結の可能性

年明け最初の記事は竜剣士についてです。
今現実の紙のカードからは離れているので、あくまでも仮想として、理論上のこと、として考えていきたいと思います。

現在、EMEm環境終了直後からEMの新たな相方として竜剣士が主流となり、環境を席巻しています。確かに、EMが相変わらず強い、というのは言わずもがなな面がありますが、竜剣士というカテゴリ、テーマ自体もある種異常なまでの汎用性を持っていると考えています。
なおここでは、竜剣士という表記ですが一部を除き竜魔王も含めています。

a.竜剣士とは
COREで登場し、通常エキスパンションとともに、それらの新規テーマと同時に少数枚追加される形で進化していったカード群です。BOSHでの竜呼相討つの追加を皮切りにテーマとして、最新弾であるSHVIでの追加で、おそらくですがカード群として基本的な部分(ここではOCGのストーリー上での)は揃ったのではないでしょうか。
メインデッキに入るカードとしては
・モンスター
竜剣士ラスターP、竜魔王ベクターP、竜剣士マスターP、竜魔王レクターP、虚竜魔王アモルファクターP
・魔法
竜呼相討つ、真竜の目覚め
エクストラのカードは
爆竜剣士イグニスターP、昇竜剣士マジェスターP、剛竜剣士ダイナスターP
などがあります。

b.強さ
これらのカード群の強さは、まずステータスの高さです。
ラスターとベクターですら1850であり、マスターとレクターは1950と、一般的な☆4アタッカーの水準を超えています。これらはライフを取る速度に直結し、素材およびスケールに置かなくても戦力として戦えることを意味します。ドクロバットエアーマン、ハルベルトなど、1800打点のメリット効果持ちモンスターに対してもデメリットなしで戦闘破壊が行え、代表的なメタモンスターであるライオウに強く出れるマスターとレクターの存在は非常に貴重です。
元来、1950打点のモンスターは完全なバニラモンスターかデメリット持ちが多かったのですが、マスターに関してはスケールとP効果を持っているため、それらのバニラとは一線を画しています。レクターもデメリットに近い、という解釈も出来ますが、明らかなデメリットではないので、これも問題ないかと思います。
打点以外にも、明らかに狙ったようなスケールの設定があります。3と5なので、カテゴリ内で☆4モンスターをPS出来るようになっています。これもまたただの打点の高いバニラ、とは違う形です。

そしてこれらのカードをパワーカードたらしめ、環境に押し上げたのは間違いなく竜呼相討つの存在でしょう。
同様にデッキからモンスターをリクルート出来るカードの代表格、例としてヒーローアライブや予想GUYと比べても、リクルート出来るモンスターが不確定であるという点を除き破格の性能です。速攻魔法であり、しかもリクルート以外にもエクストラ肥やしとスケールのセットを選択出来る大きすぎるおまけがついているので、インフレが目立つ9期のカードの中でも凄まじいものがあると思います。これでいてターン1以外のデメリットらしいデメリットはなく、ライフコストも発動条件もないわけです。
また、そこから展開されるエクストラのモンスターに関しても、それぞれが特定の場所からの展開能力を持ち、イグニスターに関しては対象をとらない除去、マジェスターはサーチ、ダイナスターは破壊耐性があるため、盤面の制圧と展開を同時に出来ます。

c.可能性
基本的には現在、EMと組み合わせたり出張パーツとして非常に高い汎用性を持っている竜剣士ですが、かつての征竜のように純構築によっても戦える可能性は充分あると思います。
ラスターという軸を元に、インフレの影響を受けた汎用性の高いカードを追加していくことで、環境に匹敵するレベルのデッキは少なくとも現状だけで出来上がるはずです。今後、ペンデュラムサポートが来ることが新規カードを得ることと同義になることもまた強化されるというのも期待が高い側面です。

d.サンプル
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上記のレシピはあくまで現段階でのサンプルです。
基本的にはハイビートに近い形を取ります。

・調整
おそらくですが竜剣士カテゴリの枚数がかなり難しいと思います。ベストが全く見えないので、ここに苦労しています。バニラの枚数、特にマスターの枚数が難しいです。今回はベクターを減らしマスターを3枚にしています。
レスキューラビットを採用するならベクターと合わせて3枚ずつ計6枚が確定なのですが、ここではレスキューラビットを避けています。理由としては妨害を受けやすい、竜呼相討つとイグニスター、ラスターの効果で破壊した場合などによりデッキの中から減った状態で引いた場合や、ヴェーラー・増Gの兼ね合いがあり、予想GUYによる安定性を取りました。ラビットの方がパワーは高く、破壊されるデメリットもエクストラ肥やしに使えるため、ここは選択です。
手札誘発は幽鬼うさぎは確定です。緊急テレポートとの噛み合い、チューナーであるため☆4モンスターとシンクロしメテオバーストを出せるのは彼岸に強く出れる点です。
アリアドネはラスターの効果や眼差し、ステータス、そして神系罠のサーチで使えるため重要です。追加のモンスターとしてライオウを採用していますが、使い方が難しい上にうまく機能しなかったり、順番を間違えると自分の首を絞めることになるので注意すべき点です。

魔法に関してはツイツイを優先、羽根帚はツイツイの3枚目に差し替えてもいいと思います。緊急テレポートはリクルートという点で竜呼や予想GUYと同様なため、展開のサポートであり、ペンデュラムできない幽鬼うさぎを召喚権を使わず出せるのも強みです。
そして、この構築で目をひくのは精神操作だと思います。これがあるかないかで、このカードの使い方で勝敗が決まることがあります。無しで組むなら、要らないと判断した場合は別のカードに変えてもいいですが、一度使ってみてください。
罠はアリアドネのサーチ先です。複数枚素引きするのはよくないですが、スケールにアリアドネがあればライフコストを踏み倒せるので少しだけ多めに入れてます。神系だけでなく、他のカウンター罠も視野にいれておくと幅が広がります。

エクストラはEM竜剣士とあまり変わらないですが、シンクロモンスターメテオバーストは必須です。クリアウィングは自由枠なので、好きなエクシーズや他のシンクロなどと入れ替えてもいいと思います。
サイドは一応スキドレはいれておくと便利です。基本的には使い捨て感覚でも仕事は出来るはずなので。他はメタに合わせて、調整した部分で足りないところがあれば随時考えていきたいと思います。

いろいろ考られる幅が広いので、竜剣士というカテゴリの持つ面白さと可能性は非常に魅力的です。