ネクロスについて⑦バック破壊

環境が固定化し、多くのプレイヤーは次の環境を見越した構築へ移行する傾向にあると思いますが、このシリーズ記事ではあくまで現環境における考察を示していきます。今回はネクロスのバック破壊についてです。


a.ネクロスのバック破壊の意義
ネクロスは原則、決まったリソース及び行動回数においてプレイを進めていくデッキであり、構造上無理な展開や思考停止のプレイなどを構築段階から抑制しているデッキです。そんなネクロスで、罠一枚で動きを止められてしまうことは即敗北に繋がります。それを考慮した上で、相手の罠を突破する手段としてのバック破壊カードですが、ネクロスは他のデッキと違い一枚で動けるデッキではありません。構成の段階でバランスを取っていく必要があります。この場合のバランスとは、相手の罠との噛み合いと自分の展開札、リソースによる優位にとれる部分と不利になる部分の配分です。いわゆる裏目を排除し、いかにして自分の動きを通すか、の点においてバック破壊は切っても切れない関係にあると思います。

b.具体性
ではいったい仮想敵として、バック破壊が必要になる場面はいつなのでしょうか。環境的に羽根帚でふらサイドに入る状態において、最優先で破壊しなければならない罠とはなんなのでしょう。
答えはいわずもがな、神の通告です。
神の通告は、アリアドネによってサーチのきくカウンター罠になってしまいました。見えていれば踏みにいかないように迂回する行動をとれば直撃は避けられますが、いつもそういった行動がとれるとは限りません。バック破壊カードは仮想敵を見極め、それらのカードに具体性を持たせなければ採用圏内にいれることが難しいです。なぜなら、ネクロスは手札の質と盤面の強さ、打開力、優位性が平行であり、不要なカードを引くということ自体がそもそも厳しいデッキだからです。儀式は一枚ではどうやっても行うことが出来ず、また止まることも多い難しい召喚方法です。

c.採用候補
現環境では、羽根帚よりも汎用性が高く、複数枚破壊出来るツインツイスターが優先される傾向にあります。また、従来通りのサイクロンや、先攻展開用のタイフーンがあり、取捨選択が重要です。その都度盤面において使い分けられるわけではないので、何をするかに絞ってメインとサイドで使い分けていく必要があると思います。また、手札との兼ね合い、ならびに構築段階から優先順位を導きだすなど、プレイヤーそれぞれの考えとも比べていかなくてはなりません。
羽根帚に関しては、必須ではありますが、ネクロスというデッキには噛み合わない札だと思っています。そのためツイツイを優先する理由もわかる、という状況です。手札コストがあるため無闇な採用は出来ませんが、流行りの通告や永続罠に対しても強く撃てる場合があるため、羽根帚を差し置いてでも現状採用しなくてはならないと思います。

d.場合分け
仮にツイツイを採用しバックを破壊する場合、どのような状況が考えられるか、ここが採用するかしないかの分かれ目だと思います。
どの部分に当てられると被害が大きいのか、少ないのかなど、相手のプレイ傾向にもよる部分ですが、考える価値がある部分です。
①初動の仏の場合
ここに当てられた場合、儀式が揃っているときはあまり痛くないですが、揃っていない場合は一番の痛手になります。場にモンスターが消え、儀式も出来ない状況に追い込まれるため、返すことも難しくなります。その裏目を回避するためにバックを破壊することは充分有用ですが、この場合ではツイツイだと手札コスト分破壊しなければまた返しでの対策を取らないとすぐに優位が入れ替わる恐れがあります。
②仏のサーチ先の効果に撃たれた場合
これは基本的にソラスやブリュなど、サーチ後の追加の動きに対するものです。ここに当てられた場合、こちらの想定は大いに崩れますが、相手側も裏目が多く、ギャンブルに近い状態だと思います。この想定は手札にパーツを溜め込むことで回避しやすくなります。ツイツイで割って動くよりもうまく回避して動く方がいいため、こういった場合はサイクロンで事足ります。
③儀式先に当てられる場合
激流葬や奈落も、基本的にはここに当ててくると思われますし、通告もここに当てるのが最も裏目が少ないです。リソースと行動回数を使っているので、動ける回数を大幅に減らせるためです。
この想定はサイクロンだけでは足りない場合があるため、羽根帚やツイツイなどの複数枚破壊出来るカードが必要です。

e.原則と例外
ネクロスは他のデッキと違い、動くために必要なカードが多いため、極力展開に関わらないカードは減らす方向の方が望ましいです。ですが、環境的にそれらが求められている以上、ある程度の枠を割いていかないとよりイージーウィンをされやすくなります。それらを未然に防ぐためにも、羽根帚以外のバック破壊カードは必要です。しかし、どれも一長一短なので、パターンや環境に応じて変えていかなければなりません。下手にとりあえずで採用してしまうと、思わぬところでそれが足を引っ張る自体になりかねません。自分はいったいどういう状況を想定してそのカードを選択したのかを今一度確認することが大切です。
非環境テーマでは抜きん出た強さのため、一枚一枚に意味をもたせることが、環境デッキに対する対抗策だと思います。